「あの人がいないと回らない」が生まれる理由
はじめに
「あの人が休むと現場が止まる」
「結局、最後はあの人に聞くしかない」
「代わりがいないから休ませられない」
医療機関の現場で、この言葉を一度も聞いたことがない、というケースはほとんどありません。
一見すると、特定の人が“要”として活躍しているようにも見えます。
しかしこの状態は、組織としては非常に危険なサインです。
「あの人がいないと回らない」は、個人の能力の問題ではなく、構造がそうさせている結果です。
属人化は“自然発生”する
まず押さえておきたいのは、属人化は誰かの怠慢や独占欲で起きるものではない、という点です。
多くの場合、
忙しい現場
判断基準が曖昧
例外対応が多い
こうした状況の中で、できる人が前に出ただけです。 結果として、「あの人がいないと回らない」状態が自然に出来上がっていきます。
理由① 判断が人に集まっている
最も大きな理由は、判断が構造ではなく人に紐づいていることです。
このケースはOKか
医師に確認すべきか
例外として受けるか
判断基準が整理されていない現場では、経験のある人に判断が集中します。 そして、その人が「あの人」になります。
理由② 例外対応が整理されていない
医療現場では、例外対応は避けられません。
しかし、
例外が記録されない
次に活かされない
毎回その場判断になる
この状態が続くと、例外対応を知っている人だけが頼られる存在になります。 属人化は、例外の蓄積から加速します。
理由③ 情報の置き場所が人になっている
「あれ、どこにありましたっけ?」
「前回どう対応しましたっけ?」
こうした問いに、いつも同じ人が答えているなら要注意です。
情報が分散している
最新情報が共有されていない
人の記憶に頼っている
情報の所在が人になると、その人がいないと回らなくなります。
理由④ 引き継ぎが“できない構造”
「引き継げばいい」と簡単に言われることもあります。 しかし実際には、引き継げない構造になっていることがほとんどです。
業務が分解されていない
判断基準が言語化されていない
例外が整理されていない
この状態では、引き継ぎは“説明”に終わり、再現にはなりません。
理由⑤ 責任と役割が曖昧
「あの人がやってくれる」という状態の裏側では、
誰の役割か分からない
最終責任が曖昧
判断の線引きがない
という構造があります。
結果として、責任感の強い人が抱え込み、その人に依存する形になります。
「あの人」は守られていない
重要なのは、「あの人」は決して楽をしていない、ということです。
常に呼ばれる
休みにくい
ミスが許されない
この状態は、優秀さの証明ではなく、構造の犠牲者です。
属人化は「悪」ではない
誤解してはいけないのは、属人化そのものを否定する必要はない、という点です。
問題なのは、
属人化していること
それを放置していること
この2点が重なったときです。
「いなくても回る」は冷たいことではない
「あの人がいなくても回る現場」を目指すと、冷たい組織に感じられることもあります。
しかし実際は逆です。
休める
育てられる
役割を分けられる
人を守るための設計です。
まとめ
「あの人がいないと回らない」が生まれる理由は、能力や意識の問題ではありません。 判断・例外・情報が、人に集まる構造があるからです。
もし今、「特定の人に負担が集中している」と感じているなら、 人を変える前に、構造を見直してみてください。
RE:MEDでは、現場と経営の両面を理解したメンバーが、
人に依存しない、しかし人を大切にできる構造設計を支援しています。
医療を、仕組みで整える。
その設計を、私たち RE:MEDメンバー がご一緒します。
読み終えた今、整理しておきたい方へ
本記事の内容について、
「自院の場合はどう整理すればいいのか」
「今の判断が合っているのかを一度確認したい」
と感じた方へ。
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答えを出す場ではなく、考えを言語化するための壁打ちの時間です。
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執筆者情報
川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役/RE:MED代表
クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。
自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。
現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「RE:MED」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。




