良いクリニックほどマーケが下手に見える理由


はじめに

「腕は確かなのに、発信が弱い」
「診療は丁寧なのに、Webが地味」
「もっとマーケをやれば伸びるのに…」

いわゆる“良いクリニック”ほど、こう言われる場面をよく目にします。 しかし現場を見ていると、それはマーケが下手なのではなく、そう見えているだけというケースが少なくありません。


「下手に見える」と「下手」は違う

まず押さえておきたいのは、 「マーケが下手に見える」「マーケが機能していない」は別物だという点です。

良いクリニックほど、

  • 派手な訴求をしない

  • 過度な煽りを避ける

  • 期待値を上げすぎない

結果として、外から見ると“弱く”見えることがあります。 しかしこれは、意図的な選択である場合が多いのです。


理由① 現場が“患者を選んでいる”

良いクリニックほど、無意識のうちに患者を選んでいます。

  • 何でも受けるとは言わない

  • 得意・不得意を分けている

  • 合わない人を呼び込まない

これはマーケ視点で見ると「機会損失」に見えます。 しかし運営視点では、現場を守るための重要な設計です。


理由② 期待値をあえて上げていない

マーケの基本は期待値を上げること、と思われがちです。

しかし医療では、

  • 期待値が高すぎる

  • 想像と現実がズレる

この2つが、最も大きなトラブルの原因になります。

良いクリニックほど、期待値をコントロールするマーケをしています。 結果として、派手さは失われます。


理由③ 現場の余白を優先している

良いクリニックは、現場の状態をよく知っています。

  • これ以上増えると回らない

  • 初診が荒れる

  • スタッフが疲弊する

そのため、 「今は増やさない」 「今は目立たなくていい」 という判断を意識的・無意識的に行っています。

これは、マーケをしない選択ではなく、タイミングを選ぶ判断です。


理由④ マーケを“営業”だと捉えていない

良いクリニックほど、マーケを「売る行為」として捉えていません。

  • 誰に

  • 何を

  • どう伝えるか

を静かに整えています。

その結果、

  • キャッチーさは減る

  • 分かる人にだけ届く

という状態になります。


理由⑤ 現場の言語でしか語れない

良いクリニックの多くは、現場言語で物事を考えています。

  • 病態

  • リスク

  • 判断基準

これらは、マーケ言語に翻訳しないと伝わりにくいものです。 翻訳をしない限り、外から見ると「発信が弱い」ように見えます。


本当にマーケが下手なケースとの違い

もちろん、本当にマーケが機能していないケースもあります。

違いはここです。

  • 下手に見える:構造は整っている

  • 下手である:構造がなく、行き当たりばったり

良いクリニックの場合、構造は整っているが、表現が控えめということがほとんどです。


マーケは“強くする”ものではない

マーケを強くすれば、一時的に数字は伸びるかもしれません。

しかし、

  • 現場が耐えられるか

  • 体験が再現できるか

  • 信用が積み上がるか

ここを無視すると、必ず歪みが出ます。 良いクリニックほど、このリスクを本能的に避けています。


良いクリニックのマーケが目指すもの

良いクリニックのマーケは、

  • 目立つこと

  • 勝つこと

ではありません。

ズレを起こさないこと 長く続く関係をつくること
これがゴールです。


まとめ

良いクリニックほど、マーケが下手に見える理由は明確です。

  • 派手さを選ばない

  • 期待値を上げすぎない

  • 現場を守る判断を優先している

それは弱さではなく、運営を理解した上での強さです。

もし今、「もっとマーケを強くすべきか」と迷っているなら、
強くする前に、何を守りたいのかを考えてみてください。

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執筆者情報


川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役/RE:MED代表

クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。

自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。

現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「RE:MED」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。

2026/02/24 07:00 -

良いクリニックほどマーケが下手に見える理由


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