情報が行き交うクリニックの“構造図”を描く方法
はじめに
「この情報、どこにありますか?」
「それ、誰が確認していますか?」
「最新の情報はどれですか?」
クリニックの現場では、こうしたやり取りが日常的に発生しています。
情報は確かに存在している。
しかし、どこにあり、どう流れ、誰が扱っているのかが見えない。
この状態が続くと、現場は徐々に疲弊していきます。
医療DXや業務改善に取り組むうえで、まず最初にやるべきことは、「情報の構造を可視化すること」です。 そのために有効なのが、クリニックの“構造図”を描くことです。
情報が見えない現場で起きていること
情報の流れが見えていないクリニックでは、次のようなことが起こりがちです。
同じ内容を何度も確認している
情報の転記・コピーが多い
ベテランしか分からない判断がある
「聞いた・聞いてない」が発生する
これらは、スタッフの能力や意識の問題ではありません。 情報の構造が描かれていないことが原因です。
“構造図”とは何か
ここでいう構造図とは、立派な資料やIT設計書ではありません。 構造図とは、「情報がどこから入り、どこを通り、どこに溜まるか」を示した地図です。
重要なのは、正確さよりも「全体が見えること」。
どこが入口か
どこで情報が分岐するか
どこで判断が行われるか
これが一枚で分かることが目的です。
ステップ1:まずは“入口”を書き出す
構造図づくりは、情報の入口を洗い出すことから始めます。 例としては、
電話
Web予約
LINE
来院時の直接対応
紹介状
検査結果
ここで重要なのは、整理しないこと。 まずは、思いつく限りすべて書き出します。
入口を書き出すだけで、「こんなにあったのか」と驚くことも少なくありません。
ステップ2:情報の“行き先”を結ぶ
次に、それぞれの入口から入った情報が最終的にどこへ行くのかを線で結びます。
電子カルテ
紙ファイル
チャットツール
Excel
個人のメモ
ここで、情報が複数の場所に分岐しているケースが多く見つかります。 この分岐点こそが、混乱の温床です。
ステップ3:誰が触っているかを書く
次に行うのが、 「誰がその情報に触れているか」を明確にすることです。
受付
看護師
医師
事務長
特定のベテラン
人の名前を書く必要はありません。役割で十分です。 この工程で、「特定の人にしか分からない情報」が浮かび上がります。
ステップ4:判断が発生するポイントを丸で囲む
構造図の中で、判断が必要な箇所を見つけ、丸で囲みます。
初診か再診かの判断
対応可否の判断
例外対応の判断
判断が集中している場所は、現場が最も疲れている場所でもあります。
ステップ5:情報が“滞留”している場所を見る
最後に見るべきは、情報が止まっている場所です。
確認待ち
引き継ぎ待ち
判断待ち
構造図にすると、情報がスムーズに流れていない箇所が一目で分かります。 ここが、改善の優先ポイントになります。
構造図を描くと何が変わるのか
構造図を描くだけで、すぐにツールを入れる必要はありません。 それでも、現場には変化が起こります。
無駄な確認が減る
役割の境界が明確になる
改善の順番が見える
「何から手をつけるべきか」が分かる
DXや業務改善が進まない理由の多くは、全体像が見えていないことにあります。
構造図は“一度描いて終わり”ではない
構造図は、完成させるためのものではありません。
新しい業務が増えたとき
ツールを導入するとき
人が入れ替わったとき
こうしたタイミングで、描き直すための土台です。 変化に合わせて書き換えられる構造こそが、強い運営を支えます。
まとめ
情報が行き交うクリニックでは、「情報量」ではなく「構造」が問題になります。
ツールを入れる前に、人を増やす前に、
まずは一枚の構造図を描いてみてください。
RE:MEDでは、現場と経営の両面を理解したメンバーが、
医療機関ごとの情報構造を可視化し、改善の順番を整理する支援を行っています。
医療を、仕組みで整える。
その設計を、私たち RE:MEDメンバー がご一緒します。
読み終えた今、整理しておきたい方へ
本記事の内容について、
「自院の場合はどう整理すればいいのか」
「今の判断が合っているのかを一度確認したい」
と感じた方へ。
状況整理を目的とした30分の無料相談(オンライン)を行っています。
答えを出す場ではなく、考えを言語化するための壁打ちの時間です。
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執筆者情報
川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役/RE:MED代表
クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。
自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。
現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「RE:MED」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。




