業務棚卸の本当の意味 ― 医療DXの起点はここにある


はじめに

「業務棚卸をやりましょう」
医療DXや業務改善の場面で、よく聞く言葉です。

しかし、この言葉に対して現場が前向きになることは、あまり多くありません。

  • 作業を書き出すだけで終わった

  • 表を作ったが、使われなかった

  • 結局、何が変わったのか分からない

こうした経験から、業務棚卸=大変なだけで意味がないもの
という印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

ですが、本来の業務棚卸は、DXや改善の“前段階”ではありません。
DXそのものの起点です。


業務棚卸が形骸化する理由

業務棚卸がうまく機能しない最大の理由は、目的がズレていることにあります。

多くの場合、業務棚卸は

  • 作業を洗い出すこと

  • 業務量を把握すること

で終わってしまいます。

これでは、「現場がどこで迷っているのか」「なぜ確認が発生しているのか」は見えてきません。 業務棚卸の本質は、作業の量ではなく、構造を明らかにすることにあります。


業務棚卸とは「構造を言語化する作業」

RE:MEDで捉える業務棚卸は、単なる作業リスト作りではありません。 業務棚卸とは、業務がどんな順番で流れ、どこで止まり、誰が判断しているかを言語化する作業です。

つまり、

  • 作業

  • 情報

  • 判断

この3つの関係を整理することが、本来の業務棚卸です。


なぜ業務棚卸がDXの起点になるのか

DXがうまくいかない医療機関では、共通して次のような状態があります。

  • 業務がブラックボックス化している

  • 「なぜそうしているのか」が分からない

  • 人に聞かないと進まない

この状態でツールを入れても、現場は混乱するだけです。

業務棚卸を行うことで、初めて次の問いに答えられるようになります。

  • どの業務が本当に必要か

  • どこが属人化しているか

  • どこを仕組みに任せられるか

ここが見えない限り、DXは“置き換え作業”で終わってしまいます。


業務棚卸で必ず見るべき3つの視点

① 情報はどこから来て、どこへ行くか

業務の多くは、情報の受け渡しで成り立っています。

  • 電話

  • Web

  • 口頭

これらの情報が、どこで受け取られ、どこに集まり、どこで使われているか。
ここを整理することが第一歩です。


② 判断はどこで発生しているか

業務が止まるポイントには、必ず判断があります。

  • 初診か再診か

  • 例外対応するか

  • 誰に回すか

判断が集中している場所は、現場の負担が集中している場所でもあります。


③ 人に依存している業務はどこか

業務棚卸で必ず浮かび上がるのが、 「あの人しか分からない業務」です。 これは能力の問題ではなく、構造の問題です。

業務棚卸は、人を責めるためのものではありません。 仕組みに置き換えるための材料集めです。


業務棚卸をやると現場で起きる変化

正しい業務棚卸を行うと、すぐに次の変化が起こります。

  • 「なぜやっているか分からない業務」に気づく

  • 改善の優先順位が見える

  • DXの順番を間違えなくなる

  • 現場の納得感が高まる

業務棚卸は、改善のための“準備作業”ではなく、改善そのものなのです。


業務棚卸は完璧を目指さなくていい

業務棚卸というと、「全部やらなければならない」と思われがちです。 しかし、最初から完璧である必要はありません。

  • 問い合わせ対応

  • 予約対応

  • 初診対応

など、一部の業務から始めるだけでも十分です。


まとめ

業務棚卸の本当の意味は、業務を把握することではありません。 医療機関の構造を言葉にすることです。

ツールを選ぶ前に、人を増やす前に、まずは業務棚卸から始めてみてください。

RE:MEDでは、現場と経営の両面を理解したメンバーが、
医療機関ごとの業務構造を整理し、DXや改善につながる棚卸を支援しています。

医療を、仕組みで整える。
その起点を、私たち RE:MEDメンバー がご一緒します。


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執筆者情報


川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役/RE:MED代表

クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。

自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。

現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「RE:MED」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。

2026/01/20 07:00 -

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