クレームを生まない業務ルールの作り方
はじめに
「またクレームが来た」
「説明したはずなのに、納得してもらえない」
「対応した人によって言うことが違うと言われた」
医療機関におけるクレームは、
突然起きた“事故”のように扱われがちです。
しかし実際には、多くのクレームは予兆を伴って発生しています。
そして、その予兆は
業務ルールの設計段階に現れています。
クレームは“感情”ではなく“構造”から生まれる
クレームという言葉から、
感情的な患者対応を想像する方も多いかもしれません。
しかし、医療現場で繰り返されるクレームの多くは、
- 説明が人によって違う
- できる/できないの基準が曖昧
- 例外対応が毎回変わる
といった、構造のズレから生まれています。
感情は引き金にすぎず、
原因はもっと手前にあります。
業務ルールがクレームを生む瞬間
業務ルールは、本来
現場を守るためのものです。
しかし、次のような状態になると、
業務ルールは逆にクレームを生みます。
① ルールが「存在するだけ」になっている
- マニュアルはあるが、見られていない
- 現場の判断で運用が変わっている
この状態では、
患者から見た対応は「人によって違う」ものになります。
② 例外対応がルール化されていない
「今回は特別に」
「前はやってもらえた」
例外対応が整理されないまま積み重なると、
患者の中で“期待値”がズレていきます。
この期待値のズレこそが、
クレームの温床です。
③ 説明責任が個人に委ねられている
業務ルールが曖昧な現場では、
説明が個人任せになります。
- 言い回しが違う
- 伝える順番が違う
- 強調点が違う
結果として、
「聞いていない」「そんな説明はなかった」
という不満が生まれます。
クレームを生まない業務ルールの前提
クレームを防ぐための業務ルールは、
厳しくすることではありません。
大切なのは、
“誰がやっても同じ結果になる”ことです。
- 判断の余地を減らす
- 説明内容を揃える
- 例外の扱いを決める
これが、
クレームを生まないルールの前提です。
ステップ① クレームが起きた業務を特定する
まずやるべきことは、
クレーム対応を強化することではありません。
- どの業務でクレームが起きたか
- どの説明がズレていたか
業務単位で切り分けることが第一歩です。
ステップ② 判断が発生する箇所を洗い出す
クレームが起きた業務には、
必ず判断が介在しています。
- 対応可否の判断
- 例外とするかどうか
- 医師に確認するかどうか
この判断を
どこまでルール化できるかを考えます。
ステップ③ 例外対応を“想定内”に戻す
例外対応をゼロにすることはできません。
しかし、
例外を例外のままにしないことはできます。
- どこまでOKか
- 誰が判断するか
- どう説明するか
これを決めるだけで、
現場のブレは大きく減ります。
ステップ④ 説明文を業務ルールに含める
業務ルールは、
「やり方」だけでは不十分です。
- 患者にどう説明するか
- 何を必ず伝えるか
説明文まで含めて業務ルールです。
これにより、
説明の質と内容が揃います。
ステップ⑤ 現場で“使われる形”にする
完璧なルールより、
使われるルールが重要です。
- すぐ見返せる
- 迷ったときに頼れる
- 現場の言葉で書かれている
ルールが使われて初めて、
クレームは減っていきます。
クレームが減る現場で起きていること
クレームが減っている医療機関では、
特別な対応をしているわけではありません。
- 判断が揃っている
- 説明が揃っている
- 期待値が揃っている
結果として、
患者とのズレが生まれにくくなっています。
まとめ
クレームは、
対応の問題ではありません。
業務ルールの設計の問題です。
もし今、
「同じようなクレームが繰り返されている」
と感じているなら、
人の対応力を鍛える前に、
業務ルールを見直してみてください。
RE:MEDでは、
現場と経営の両面を理解したメンバーが、
クレームを生まない業務ルール設計を支援しています。
医療を、仕組みで整える。
その設計を、私たちRE:MEDメンバーがご一緒します。
- クレームの多くは感情ではなく、業務ルールの構造のズレから生まれる
- 判断基準・例外対応・説明内容を揃えることが再発防止の土台になる
- 使われる形で整備されたルールが、現場のブレと患者とのズレを減らす
執筆者情報

川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役/RE:MED代表
大手コンサルティング会社、医療系事業会社、医療系メーカーを経て、
自費クリニックにて事務長・COOとして経営と現場運営を統括。
オンライン診療の立ち上げ、オペレーション構築、採用設計、業務改善など、
医療機関の実務に深く入り込む支援を行ってきた。
現在は、現場と経営の“間”に立つ立場から、
医療機関のカオスを構造的に整理し、前に進めるための支援を行っている。
現場での実務経験をもとに、
「人の頑張りに依存しない仕組みづくり」を軸とした情報発信を行っている。