なぜ優秀なスタッフほど疲弊して辞めていくのか


はじめに|「回せる人がいない現場」の正体

「仕事ができる人から辞めていく」「周りを支えていた人が、突然限界を迎える」――多くの医療機関で、この現象は“あるある”として語られます。しかしそれを「仕方ない」「個人の忍耐力の問題」で片付けてしまうと、同じことが何度も繰り返されます。

優秀なスタッフが辞めていく理由は、性格の問題ではありません。すべては「構造」の問題です。

優秀な人ほど“構造の穴”に落ちる

優秀なスタッフは、現場の不具合にいち早く気づきます。「診察室と受付の連携が詰まっている」「イレギュラーな患者対応の際、誰も判断できない」といった現場の歪みです。そして彼らは責任感が強いため、その歪みを放置できず、結果として個人の努力で“構造の穴”を埋め始めます。

最初は周囲から頼られ、「役に立っている」と感じるかもしれません。しかし、この状態は適切な役割分担ではなく、単に“負担”が一個人に集中しているだけの状態です。

判断が個人に集中し、疲弊が加速する

疲弊が一気に加速するのは、あらゆる判断が個人に集中したときです。「このケースは医師に確認すべきか」「例外として受付で処理していいのか」――判断基準がルールとして構造化されていない現場では、常に「分かる人」に質問が殺到します。

さらに優秀なスタッフほど、「患者さんを待たせたくない」「自分がやった方が早い」と頼まれごとを断れません。こうして、業務・判断・感情労働のすべてが積み重なり、献身という名の構造的な過負荷が生み出されます。

DX(ツール導入)が優秀な人を壊す罠

自動精算機や新しい予約システムなどの「点でのDX」が、かえって彼らの疲弊を加速させるケースもあります。

ツールの操作を理解している人が限られ、システム外の例外対応がアナログで発生すると、結局はトラブル対応が属人化します。結果として、院長から見えにくいところで、優秀なスタッフが“名ばかりのDX管理者”として矢面に立ち続ける状態が生まれてしまうのです。

辞める直前まで、彼らは声を上げない

最も恐ろしいのは、優秀なスタッフほど辞める直前まで問題を表に出さないことです。文句を言わず、最後まで責任を果たし、ある日突然限界を迎えていなくなります。これは、彼らが限界まで構造の穴を一人で支えていた何よりの証拠です。

本当の問題は「人が辞めること」ではありません。「辞めるまで現場の構造が変わらなかったこと」です。判断が人に集まり、例外が整理されず、情報が属人化する。この構造がある限り、新しく採用した次の優秀な人も、全く同じ道を辿ります。

おわりに|人を称える前に、依存しない設計を

優秀なスタッフが定着している現場では、「判断が構造に分散されている」「例外がルールとして整理されている」「特定のベテランスタッフしかできない仕事が少ない」という特徴があります。結果として、優秀な人ほど“余力”を持てているのです。

優秀な人を守るのは、評価制度や優しい声かけだけではありません。本当に必要なのは、「特定の個人の頑張りに依存しなくても回る構造」です。

もし今、「なぜあの人が辞めたのか分からない」「また新しく採用をかけなければ」と頭を抱えているなら、人を見る前に、現場の構造を見直すタイミングかもしれません。

このような状態に当てはまる場合はご相談ください
  • 特定のスタッフがいないと、現場の判断や業務が止まってしまう
  • 新しいツール(自動精算機等)を入れたのに、受付の疲弊が変わらない
  • 周りを支えていた優秀なスタッフから、突然退職を切り出されたことがある

優秀なスタッフが疲弊して辞めてしまう「構造的な歪み」を、一度フラットに整理してみませんか?

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所要時間:約30分/オンライン

※現場の状況整理を目的とした対話です。無理な営業等は行いません。

執筆者情報


川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役

クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。

自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。

現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「REFOLMO Med(レフォルモメッド)」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。

2026/04/28 07:00 -

なぜ優秀なスタッフほど疲弊して辞めていくのか


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