クリニックのOJTがうまくいかない理由|新人教育を仕組み化する方法

はじめに|制度はあるのに「育たない」現場の背景

「OJTはやっているはずなのに、一通り教えた後も一人で任せられない」「人が育たないまま、また次の採用を考えなければならない」――多くの医療機関で、OJTは制度として存在しています。しかしその実態は、単なる“同行”や“見学”に留まり、「教えたことになっているだけ」のケースが少なくありません。

OJTが形骸化する原因は、教える側の熱意や新人の能力の問題ではなく、組織の構造にあります。

OJTは「教育」ではなく「再現」の仕組みである

OJTを「教育や指導」と捉えてしまうと、現場はうまくいかなくなります。本来のOJTとは、「誰がやっても業務を同じように再現できる状態」をつくるための仕組みです。

「誰がやっても同じ結果になる」「判断に迷わず進める」「例外対応が整理されている」という業務自体の構造化ができていないままOJTを行うと、教育内容は必ず「教える人の経験則」に依存し、属人化していきます。

形骸化を招く5つの構造的欠陥


1. 教える内容が人によって違う
「午前中のスタッフにはこう教わったが、午後のベテランスタッフには違うやり方を注意された」といった混乱は、現場の構造不足です。教える内容が標準化されていないため、新人は断片的な知識しか得られません。

2. 判断基準が言語化されていない
「このケースは医師に確認するか、受付で判断するか」といった基準が曖昧な現場では、教える側も「慣れて覚えて」としか言えません。これでは新人の自立はいつまでも遠のきます。

3. 例外対応がブラックボックス化している
医療現場に例外はつきものですが、それが整理されず、ベテランの頭の中にしかない状態では、新人は通常業務を学んでも「少しのイレギュラー」で立ち往生してしまいます。

4. ゴールが定義されていない
「何ができれば合格なのか」「どこまで任せていいのか」が曖昧なままでは、教える側も教わる側も、常に不安を抱えたままになります。

5. 「忙しい時の後回し」が常態化している
「今日は忙しいから見ておいて」が続くと、OJTは次第に「やらなくても回るもの」という認識に変わり、組織として教育の優先順位が完全に崩壊します。

DXがOJTをさらに複雑にするケース

新しい予約システムや電子カルテの導入後に、かえってOJTが難しくなることもあります。これはツールの問題ではなく、「構造が整理されないまま、複雑な操作フローだけが追加された」結果です。

操作が複雑で例外がシステム外に逃げてしまうような設計では、結局「ツールに詳しい一部の人」に教育負担が集中し、現場はさらに疲弊していきます。

おわりに|教育を変える前に、業務構造を見直す

OJTを改善しようとして「教え方研修」や「マニュアルの厚塗り」に走るのは本質的ではありません。OJTの本質は、組織設計の結果そのものです。業務・判断・例外が整理されていなければ、どんなに熱心に教えてもOJTは必ず形骸化します。

もし今、「人が育たない」と感じているなら、教育論を論じる前に、「再現可能な業務構造になっているか」を一度点検してみてください。

このような状態に当てはまる場合はご相談ください
  • 教えるスタッフによって、業務のやり方や判断基準がバラバラになっている
  • マニュアルはあるものの、実務での「例外判断」が言語化されておらず機能していない
  • OJTが「忙しい時の後回し」になり、新人の教育進捗が属人化している

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※現場の状況整理を目的とした対話です。無理な営業等は行いません。

執筆者情報


川越 雄太(かわごえ ゆうた)
医療経営コンサルタント/株式会社REFOLMO 代表取締役

クリニックの経営側・現場・事業会社・コンサルという複数の立場を行き来しながら、
医療がうまく回らなくなる構造を現場で見続けてきた。

自費・オンライン診療クリニックでは事務長/COOとして経営に参画し、
売上設計、業務フロー構築、DX導入、採用・育成までを横断して担当。

現在は、医療を構造から捉え直すためのメディア/実践の枠組みとして「REFOLMO Med(レフォルモメッド)」を運営し、
発信とあわせて、医療機関へのハンズオン型コンサルティングを行っている。

2026/05/05 07:00 -

クリニックのOJTがうまくいかない理由|新人教育を仕組み化する方法


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